写真と本文は関係ありません。

ときどき

じぶんの身体の一部が みえなくなる

ときどき

じぶんの境界線がとろけてしまう

列車が多摩川の鉄橋を渡るとき

最後尾の車両にいるわたしは

・・・ああ、向かい風だ、ひゅー・・・・

空の高みにさらわれてしまう

車掌さん その手でつかまえてくれませんか

糸の付いていない凧を追いかけてくれませんか

こわい・・・

ほろほろ 崩れてきた・・・・

さいきん ほんとに 自分のりんかくが とても薄くて

風に齧られて 穴だらけになってしまう

物語の終りを待つのが怖い・・・

飛べるよ、いや、飛べないよ、飛ばされるよ、そうだ、飛ばされるよ、

世界の広さはちょうど車掌の腕を広げたくらい

お客さまはいま 砂糖なんです

雨にとろける角砂糖なんです

ひとがくずれる

ひとがとろける

それは きっと 簡単なことなのです

車掌さん このまま 抱いていてくれませんか

弾丸の重みを抱えた雲から落ちる雨につぶれないように

抱いていてくれませんか

虹の予感を湛えた空から滑り来る風が届かないように

次の駅まででかまいません

柔らかなアナウンスで

抱いていてくれませんか